2009年6月10日水曜日

小学校見学







まだ2歳になったばかりというのに、もう小学校見学である。こちらの小学校は幼稚園と一体になっており、4歳から8年間通うのが基本となっている(ただし、4-5歳は義務教育ではない)。

オランダでは学区制がなく、公立・私立を問わず行きたい学校を自分で選ぶことができるため、両親が学校見学をするのが通常。今日は、近所の公立小学校「Reigerlaan」の学校説明会があったので、ハームと2人で行って来た。

午後1時。事前に申し込んでいた父兄約20名が小部屋に案内された。校長先生が学校の教育方針やら、組織、学校行事、学則などの説明をひととおりプレゼンした後、質疑応答があった。このとき父兄から「非オランダ人は何人ぐらいいるのか?」「この学校はエリートのWitteschool(白人学校)と聞いているが、今でもその状況に変わりはないか?」「生徒達はこの辺(高級住宅街)の子供が多いのか?」など、微妙に差別的な質問が上がったのが興味深かった。

その後は実際に授業が展開されている教室をいくつか見学。初めに見せてもらったのは6-7歳の「グループ3」、日本で言えば、小学1年生のクラスだ。明るい教室に入ったとたん、教室の片隅で耳に大きなヘッドフォンを着けた少女が踊りまくっているのが目に飛び込んできた。しかし、もう一方の教室の隅では数人の子供達がパソコンに向かっている。そして手前の机ではパズルに取り組んでいる子がいる。一体何のクラスなのだろうか……。校長先生に駆け寄って聞いてみたところ、これは「Hoekwerk(片隅の作業)」と言って、各自がめいめいプロジェクトに取り組むという、いわば自習の授業だった。先生が2人、生徒の間をうろうろ見て回り、質問を受け付けたりアドバイスを与えたりしている。こういう自由な雰囲気をオランダ人は好むのだろうが、私にはどうも違和感が強かった。静かに本を読みたい子供の横で、ぴょんぴょんダンスをしている子がいるのはいかがなものか……。

すべてのクラスがこんな風だったらどうしよう……と心配になったが、そのあとに見学した小学2~6年生のクラスでは皆静かに席についており、普通の授業のようだったので安心した。しかし、日本のように教師が黒板の前に立ち、生徒が教師に向かって並んで座っているクラスはほとんどなく、班毎に分かれてグループ学習をしているクラスが多かった。これはオランダ教育のスタンダードなのだろうか。

1クラスの人数は最大で30人。1学年は2クラスなので、1学年の人数は最大60人。幼稚園クラスも合わせて、学校全体の生徒数は500人に上る。1クラス30人というのは、オランダではかなり大人数であるらしく、ハームも「ちょっと詰め込みすぎじゃないか…」という点に懸念を示していた。学校の校舎は約100年の歴史を持つ美しい建造物なのだが、500人を収容するには小さいし、校庭も全校生徒を一度に遊ばせるには相当無理がある。これはこの学校の課題になっているらしく、これから校舎の建て増しなどが計画されているという。

説明会はほぼ予定通り、午後3時過ぎに終了。ハームも私もこの学校に全般的に好印象を持ったのだが、別の学校も見て比較した上で決めようということになった。オランダにはReigerlaanのように普通の公立高校もあれば、カトリック、プロテスタントなどの宗教系、モンテッソーリやイエナプランなどの特別な教育法に基づく学校など、実にさまざまな学校がある。

学校なんてまだまだ遠い先の話のようだが、よく考えてみるとあと2年も経たないうちにマー坊は学校に通うようになる。学校の廊下をぞろぞろ歩く生徒たちを見ながら、「そのうちマー坊もここを歩くのだろうか」と思うと、ちょっと感慨深いものがあった。

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