2009年10月13日火曜日

モンテッソーリ・スクール







先日はオランダ人のママ友達に誘われて、近所のモンテッソーリ・スクールの学校説明会に行ってきた。アイントホーフェンの中心街にあるのだが、大通りを一歩入ったところにあるので、今まで全然気づかなかった。学校の建物はオランダらしいガラスと鉄筋の近代建築で、庭には子ども達が上って遊ぶ土の山やら木からぶら下がったタイヤのブランコなどがある。


説明会は夜8時から。マー坊はハームに託して、私は一人で参加した。ぞろぞろと集まった父兄は約50名。ほとんどはオランダの白人中産階級といった風情だったが、中には中国やインドネシアから来たと思われる移民の姿も見られた。


まず、コーヒーとクッキーが振舞われた後、学校のディレクターがパワーポイントを使って「モンテッソーリ教育とは何か」を説明した。


モンテッソーリ教育は20世紀初めにイタリア人の精神科医、マリア・モンテッソーリが開発した教育法。「子ども達が何かを学ぶにはそれぞれ最適の時期がある」という考え方から、自由な環境の中で子供たちが各自のペースで自発的に学んでいくことが重視されている。だから、同じ教室内で各自がばらばらの課題に取り組んでいる風景がみられるという。


教材も独特だ。文字は石版ならぬ「砂版」に指で書くことで覚え、計算はそろばんのような道具を使って原理を習い、地理はパズルを使って場所を覚えるなど、五感を使って学ぶ仕組みになっている。ディレクターの説明の後、我々は部屋の隅に並べられたこれらの教材を実際に手にとって見ることを薦められた。赤と緑に塗られたチェスボードみたいな板やら、積み木みたいな小道具やら……カラフルで、ちょっとオールドファッションにも見える教材がたくさん並んでいた。


説明会があった次の朝は、ムーハーやマー坊も一緒に、学校を見学した。全体を見渡してみて驚いたのは、学校がとても静かなこと。説明会で聞いた通り、教室内では生徒たちがそれぞれ自分の課題に取り組んでおり、机で計算ドリルをしている子もいれば、床に敷いた布の上で文字をくり抜いたフェルトのような物で単語を学習している子もいる。その間を先生やアシスタントが見て回り、生徒と同じ目線に顔を近づけて、小さな声で何か話している。


1クラスの人数は30人ほど。こんなに皆がバラバラのことをやっていて、誰が何を達成したのか把握できるのだろうか?ある先生に質問してみたところ、先生は特別な表を持っていて、各生徒が何に取り組んでいるか、何を達成したかを記録しているのだという。もちろん「読み」「書き」「計算」など、各自が達成しなければならない基準はあるので、皆がまんべんなく課題に取り組めるように先生が課題を方向づけるケースもあるという。


普通の教室のほかにはジムやプレイルームなどもあった。廊下にはコンピューターが据えられており、ここで自習している子もいる。壁には皆が作成した図画・工作の作品やら社会学習の発表などが展示されており、全体的にカラフルで明るい雰囲気だった。


この説明会と見学会を通して、私はこの学校がとても気に入ってしまった。校舎が広々としているのがいいし、自由でありながら皆が静かにそれぞれの作業に集中しているというのが面白い。そして何よりも、生徒達の間を歩いている先生方が皆とても親しみやすく、外国人の私でも気楽に質問できる雰囲気があった。これは子供たちにとっても大事なことだと思う。ハームとマー坊もそれぞれこの学校が気に入ったらしく、マー坊などは学校の庭の山に登ったままなかなか下りて来ず、家に帰りたがらなくて困ったほどだ。

モンテッソーリ教育というのは一風変わった「オルタナティブ教育」というイメージがあったので、まさか自分の子供を行かせるとは想像できなかったのだが、実際に見てみると随分と考えが変わるものである。もし、自分がもう一度小学校に通うなら、こういう学校に行きたいと思わせるものがあった。マー坊はおそらく4歳からこの学校に通うことになるだろう。

ちなみに、オランダでは様々な教育法の小学校があり、ほかにもシュタイナー教育を実践する「フリースクール」や1クラスに複数の学年の子供が同席する「イエナプランスクール」などがある。せっかくの機会なので、いろんな教育法の学校を見学したいと思っている。
※この学校はとってもフォトジェニックだったのに、見学会のときにカメラのバッテリーを持っていくのを忘れてしまった。うぅぅ大失敗!

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